北海道ツーリング2015 ~ 7・8日目

北海道最後の朝。
6時にかけた目覚ましで起きる。カーテンを開ける。本日も晴天ナリ。アローアロー、僕はここにいます。

テレビをつけるとBGMは朝からクイーン。「おれたちはチャンピオンだ」と言われても困る。チャンネルを切りかえて天気予報。明日の新潟は曇り、山あいでは少し降るかも。結局一度もカッパを着ていない。油断するなよ。でもひょっとしたら最後まで降らないのかも。まあ、この際どっちでも良いか。

ぼんやりと振り返る北海道。野付半島や熊の湯が遥か昔のことのようだ。はたと我に返り荷物をまとめる。ホテルの中に「VERY FANCY」という小洒落たカフェが併設されていて、パンケーキのモーニングが有名らしいのだが出航までの時間があまりなく、そもそも大の男がベリーもファンシーもないだろうと思い直し、何も口にせず7時30分チェックアウト。パッキングを済ませ、8時に小樽港に向けて出発。

小樽港近くで最後のセイコーマート。グランディアコーヒーとソフトカツゲン、しっとり豆パン。
またしばらく食べることはないだろう。お世話になりました。船内の食料も少し調達して、フェリー乗り場へ。

乗り場へ着くと、すでにオートバイの乗船が始まっていた。余韻に浸るいとまもなく、オートバイたちが慌ただしく飲み込まれて行く。若い係員が手を大きく回して、船のスロープへ誘導していた。

彼はいつもの慣れた動作でオートバイを誘導する。明日もきっと誘導するし、その翌日もするだろう。それが彼の仕事なのだ。

この土地に生き、抜けるような空と地平線まで続く道がある暮らし。それは彼にとって見飽きた光景なのかもしれないが、よそ者の僕にとってはそうではない。僕はまた、ビルの建ち並ぶ自分の住む街に戻る。たまらなく彼が羨ましくも思えるが、でも、彼が想う東京の街並みも、あるいは同じようなものなのかもしれない。本当は、僕の街にも美しいシルエットはあるのだろう。
僕は彼の背中を見送りながら、自分の場所へ帰ろうと思った。そしてまた新しい旅を始めるのだ。

本日と翌日の走行距離:353km
総走行距離:2,230km

 

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